テクニカルノート

⑨縦モードの波形とRFスペクトル

2021年 09月08日

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状態の良い He-Ne レーザーのビームが目で見て一定である(モードスイープ中の出力の標準的な変動の可能性を除いて)ように思われる一方で、単一波長レーザーだけが本当にDCの出力を持っています。高速フォトダイオードと基本的な試験装置があれば、最も短い He-Ne レーザー(つまり安定化単一波長レーザー)以外のすべてに存在している多数の縦モード(同じく軸モードとも呼ばれる)間での相互作用の結果として非常に多くの情報を確定することができます。そうですね、この実験で必要になるのは、それほど基本的ではない試験装置、例えば、高速オシロスコープや RF スペクトルアナライザなどです。これらの装置を入手しにくい場合、もしあなたが研究室や地元の大学などに知り合いが居れば、彼らが手助けしてくれて、若干の単純な実験から多くのことを皆が学べるかもしれません。

フォトダイオード(PD)は、少なくともレーザーの縦モード間隔を上回る周波数特性を持つ必要があります。高価なフォトダイオードが不可欠というわけではなく、フォトダイオードが非常に小さいということが必要です。1 GHz の特性を持つものは、約1mm 平方の大きさで、その周波数特性は面積とは逆比例(小さいほど感度が高い)します。候補となるフォトダイオードはあらゆる種類の装置に及ぶこととなり、古い光学式マウスでさえ候補となり得ます。フォトダイオードには 2,3 ボルトの逆バイアスを掛けて周波数特性を向上させ、50Ω の負荷を掛けてオシロスコープの入力箇所で終端します。ソーラボ社製 DET10A などのディテクタの回路をベースにすると完璧でしょう。 (この機種についてはソーラボ社のウェブサイトで検索してください。仕様書に回路図が載っています。)

最初のアプローチは高速のオシロスコープで結果として生じているモード間のビートを見ることです。ランダム偏光のレーザーでは、直線偏光用偏光子をレーザーの主要な偏光軸に対して45度の角度で偏光されるように PD の前に設置して、通常は直交する隣接モードが PD 入射時に同じ偏光とする必要があります。隣接する縦モードはそれらの周波数差に等しいビートを発生します。縦モード間の他のすべての組み合わせによるより弱いビートも同時に存在します。通常の HeNe レーザーは、基本的なモード間隔として 1.5 GHz (ごく小さい0.5 mW 出力のバーコードスキャナー用チューブで、ミラー間隔は約10cm)から161MHz (35mW 出力の SP-127 モデルでミラー間距離は約95cm)までを持ちます。

メレスグリオ社製 05-LHP-151 He-Ne レーザーの典型的な縦モードビート波形

このレーザー(メレスグリオ社製 05-LHP-151)は 5 mW 出力として分類され、438 MHz のモード間隔(ミラー間隔は約 58 cm)を持ちます。この波形は、ソーラボ社製 DET210 光検出器と私の限定版のレーザー検証用のテクトロニクス2467オシロスコープで採取されました。( 私は以前、主要レーザーメーカーの試験部の社員でした。スクリーンの下の方にある5つの醜い黒い斑点がその(レーザー照射を食らった)証拠で、CRTリン光物質が高出力のパルスレーザーで吹き飛ばされたものです!)基本情報が通常見られる一方で、より高い周波数差についての情報は解釈が難しいです。そしてこの比較的高速のオシロスコープでさえ、438 MHz の基本ビーム間隔を越える感度を持っていません。4つのスクリーンショットは特別な順序立てなしのモンタージュで、順序をいくぶん楽しくするためだけです。

これはモードプリング(周波数引き寄せ現象)のような高度な効果によって複雑化されており、ネオンゲインカーブの中心との相対的な位置に基づいてモードの位置をわずかに変えていきます。こうして、モード間隔が予想通りであることの確認を越えて、容易に決定しうるほどのものであり、周波数領域に切り替わることがより実り多いものとなります。

フォトディテクターからの出力は RF スペクトル分析装置に適用されることもあり、1 MHz (2次ビートとモードプリング)下と同様、縦モード間のビート(うなり)によって、縦モード間隔とその高調波(数百 MHzかそれ以上)として検出された重要な出力も得られます。

モードスイープ中のメレスグリオ社製 05-LHP-151 He-Ne レーザーの RF スペクトル

上のグラフは、同じレーザーヘッドの主要ビート信号を、ソーラボ社製 DET210 1 GHz のシリコン光検出器とHP 8590L RF スペクトル分析装置を使用して採取したものです。(オシロスコープと同様、ランダム偏光のレーザーでは、偏光子を PD の前に、偏光軸に対して45度で偏光が掛かるように設置して、隣接するビートを検出できるようにします。)中央周波数は約 437 MHz で、幅は1 MHz です。 (1目盛は 100 kHz です)(このレーザーのモード間隔の仕様値は 438 MHz ですが有りえます。スペクトルアナライザーのキャリブレーションが必要ですね!さもなければ、メレスグリオ社にクレームを入れてください!) 一連のスクリーンショットが示しているのは、モードスイープサイクル全体のおよそ半分です。

もしモードプリングがなければ、ディスプレイは常に左上部のもののようである(か、さらにもっと狭く)見えるでしょう - つまり単一周波数として。しかし、個々のモードはキャビティ共鳴と比較すると少し動きます。そのため、スペクトルはネオンゲインカーブ上のモード位置の関数として広がることになります。

興味深いことに、表示が一つの狭いピークがある場所に、周波数が変化する標準的な速度に基づく時間よりも長く留まります。実際、ピークがほんの少し広い状態をとらえることは不可能です - FWHM (半値幅)の1/5目盛(合成写真の左上)から約1目盛(合成写真の中上)までスナップを撮り、逆も行います。しかし、これまでそれらの中間状態は全く撮られたことがありません。このことが意味するのは、前の節で述べたように、自己ロッキング過程がおきているということです。

0~200 kHz をカバーする周波数範囲にセットすると、ピークは合成写真の右上と同様の状態を示します。
しかし、HeNe レーザー用リニア電源を使用して、ビート(うなり)を覆い隠してしまうリップル周波数とスイッチングモードの高調波を除去する必要があります! モード間隔の2倍の 874 MHz 辺りにも多数の強いビートが存在します。それらは他のビートと同じ様に変化します。モードスイープ中のほとんどの時間、3つの縦モードが発振し、ほんの短い時間だけ4つのモード発振となるので、この結果には意味があります。モードスイープサイクルの大部分で 1,311 MHz と 1,748 MHz 近辺に弱いピークが存在することをスペクトルアナライザーが示しますが、その場所は単純に自己モードロックが行なわれる場所という訳ではありません。しかしながら、これらがどこに由来し、また現実のことなのかすら明確ではありません。直接的に言えば、1,748 MHz のピークは437 MHz の4倍の位置で5本のモードでビート(うなり)を発生します。しかし決して5本のモードが存在するのではなく、サイクルの大部分では1本だけとなります。おそらくそれらは2次ビートの合計です。あるいは、それらは単にアナライザの生成データに過ぎず、内部ミキサーからの漏れデータかもしれません。

JDS Uniphase 1145P He-Ne レーザーの典型的な縦モードビート波形

上図は、JDS Uniphase 1145P モデルのオシロスコープ表示であり、438 MHz のモード間隔(ミラー間隔は約 34 cm)です。より複雑になっている原因は、より低いビート周波数(その結果、オシロスコープでのより良い反応)とより多数のモードが発振していることです。このレーザーの RF スペクトルは、ずっと多くのピークが近接していますが、5 mW レーザーのスペクトルにほぼ類似しているように見えます。

メレスグリオ社製 05-LHP-121 He-Ne レーザーの典型的な縦モードビート波形

上図は 687 MHz のモード間隔(ミラー間隔は約 22 cm) です。たった3本の縦モードが発振しており(そして不十分なスコープのバンド幅能力(の限界)が強調されています)表示はかなりきれいなサイン波を示します。モードスイープ中の唯一の明白な相違点は、振幅がわずかに変化するということです。ただし、ほとんどの時間帯で比較的きれいなサイン波を示し、より高出力で出来の良いチューブでは、振幅の減少はこの例ほど大きくありません。

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