テクニカルノート

⑩動作時の横モード

2021年 09月08日

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レーザーは、様々な横モードで稼働することがあります。レーザー仕様では通常 TEM00 モードに言及します。これは「横電磁気モード0,0」を意味し、一本のビームとなります。典型的な HeNe レーザーの長くて狭いボアは、このモードでの発振を強制的に行います。広いボア内に複数の副ビームが存在すると、2次元で同じキャビティ内に現れることになります。TEM モード数(TEMxy)が意味するのは、ビーム数(1を減ずること)あるいは副ビームの構成です。

旧 Melles Griot 社、現 Pacific Lasertec 社製 HeNe レーザーの基本的な構造

以下が、(2次元の)長方形のキャビティで見られる横モードがどのようなものなのかというおよその概念です:

様々な横(2次元)モードの模式図

モードの他(non-cartesian)のパターンの生成は、ボア構成、次元および操作条件に依存します。これらは円筒状のスペース(radial/angular)に TEMxy 座標や、あるいは長方形の混合や、円筒状モード、他の何かを持つこともあります!

He-Ne レーザーから高出力を得るためにチューブは太くて短いボアとし、横のマルチモード出力を得られるように設計することもできます。これらのチューブは希望する出力に比して短くできるため、同出力で TEM00タイプよりもいくらか低価格にすることが可能です。より明るい光源として - 例えばレーザーショーなど-こうしたレーザーが受け入れられる可能性があります。ただしビーム品質が良くないので、ホログラフィーや最高度の光学実験や調査には不適切でしょう。高出力のマルチモードの He-Neレーザーヘッドの例として、25 mW出力のメレスグリオ社製 05-LHR-831(2020 年時点で廃盤済)があります。25 mW 出力の TEM00 レーザーヘッドである 05-LHR-827 と比較すると、マルチモードのレーザーは長さは 2/3 に過ぎず、より低い電流値で3/5 の動作電圧で駆動します。

(原則として端面にレンズの付いたファイバー・オプティック・ケーブルを使って TEM00 レーザーの出力をマルチモードに変換し、ビームの焦点をあわせてコリメートして出射させることが容易であるということに留意してください。もしファイバーのコア径が単一モードを維持するためにファイバー自身に必要とする数値より大きい場合、多数のモードが内部に併存し、出力がマルチモードとなるでしょう。典型的なガラスファイバーの屈折率で 632.8 nm でのシングルモード伝播を保証するには、4μm 以下のコア径とする必要があります。ファイバーの実際のコア径によって、いくつのモードが生み出されるかが決まります。10μm のコア径では2,3個のモードをもたらす一方、125μm では数十個ものモードが発生します。こうしたことが必要とされる理由はまた別の問題です。) ただし、これらすべてのモードはまったく同じ波長でしょう。なぜなら、それらが一つのTEM00 ビームに由来するからです。

代表的な横モード

しばしばレーザーメーカーがきちんとした仕事をしておらず、TEM00 であるはずのレーザーチューブが常にマルチ横モードを呈するとか、常にそんな感じがすることがあります(例えば、ウォームアップの後に)。私は TEM00 であるはずの 13.5 mW 出力の Aerotech 社製チューブを持っていますが、そのビームは周りがトーラス(ドーナツ状)で中央に明るい点があります。私は、同様のドーナツビームを持つ、明らかに工場出荷直後の Uniphase 社製のグリーン He-Ne レーザーを見たこともあります。これらはどちらも、おそらく湾曲したミラーが片方または両側に装着されてしまい、ボア径に対して短かすぎる結果であると思われます。レーザーメーカーが不具合品を生産していたのでしょう。誰にも良くない日というものがあり、それが山積みのダメなレーザーをもたらすことだってあるのです。我々(レーザーマニア)には意味がありますが。皆さん(気にしている皆さんですが!)はすてきな TEM00 He-Ne レーザーを見ましたよね?異なるモード構造で3つの波長を持つレーザーが一体何本存在するでしょうか!

同心円状ビームのいろいろ

モード構造はビームの偏光について何も暗示しないことに留意ください。シングルモード(TEM00)とマルチモードレーザーは設計によって直線偏光かランダム偏光のいずれかとなり、マルチモードの場合、サブモードそれぞれがそれ自身の偏光特性を持つこともあります。キャビティ内にブリュースターウィンドウあるいはブリュースタープレートを加えると、HeNe(そして他の)レーザーを直線偏光にすることができます。大多数のHeNe レーザーチューブは、ランダム偏光の TEM00 ビームを発振します。内部ミラーチューブの場合、直線偏光とするために余分のコストが掛かることもあります。外部ミラー HeNe レーザーは一般的に TEM00 ビームを発振しますが、直線偏光となっているのは、チューブの終端にブリュースターウィンドウが取り付けられているからです。

単一ブリュースターHeNe レーザー

高速フォトダイオード(PD)とオシロスコープあるいは RF スペクトル分析装置を使用して、横モードに関連する周波数を見ることができます。横(平面)の周波数差は縦モード間隔と比較すると非常に低く、そのため本当に高速の PD は必要ありません。数 MHz の特性で十分です。逆バイアスが掛かっていれば、典型的な 2mm 平方未満のシリコン PD で適切な周波数特性を得られます。しかし横モードは検出器に重なり合う必要があり、レンズを使ってマルチモードの He-Ne レーザーのビームを広げる必要があります。偏光を掛けたチューブが最も良いのは、それが同じ偏光方向(PD は直交偏光モードでの周波数差を検出しないため)にモードを合わせているからです。しかし、偏光子を加えることでこの状況を部分的に補償することもできます。ただし、ランダム偏光のレーザーでは偏光がドリフトすることもあります。

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