テクニカルノート

Mini PLを用いた未知材料のフォトルミネッセンス解析

2018年 12月28日

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Photon Systems社製Mini PLを用いた未知材料のフォトルミネッセンス解析
モーター駆動・XYステージを配置したMini PLシステムでPLマッピング(面分布)測定を行った。

各種試料に関して
試料として提供された未知材料は約5mm角サイズのものが8つ。これら8つの試料の測定箇所は自由に設定でき121箇所に及んだが、試料からはPL解析による十分な情報は得られなかった。
それぞれの試料の中心部に260nm~500nmの波長レーザーを当てPL解析を行った。121箇所の測定箇所を3D表示し、XY方向に走査して1点1点PL強度を測定してPL強度分布を得た。

試料5
ラベル(蛍光標識)化したZnO(酸化亜鉛)
下記の図は、ラベル化したZnO試料中心部のPLデータである。

図1

ここでは中心波長375.3nmを表示しているが、eV(エネルギー)表示も可能だ。

図2

上図は、エネルギー表示したPLスペクトルデータだ。中心エネルギーは3.308eV。
励起光にはNeCu(ネオン・銅)レーザー(波長 248nm, エネルギー <5eV)を用いた。

図3は、中心波長 375.3nm又はエネルギー 3.308eVにおいてXY方向の走査で測定されたPLスペクトルの強度分布である。強度分布が試料の表面形状に沿った正方形状であることに注目。試料周辺の強度分布を測定することで局所的に光出力強度が変化していることが分かる。

図3

試料2 図4参照
下記のPLデータでは対象試料のPL強度が非常に低いことが分かるが、Mini PLには開口数(NA)が大きい対物レンズがついており、<365.5nmのピーク強度でPLスペクトルを捉えることができた。

図4

下記の図5は、中心波長におけるピーク強度をXY走査で3Dマッピングしたものだ。

図5

試料上のピークの位置が2つあることに注目。それと同時に発光が全く認められない箇所(X軸 = -2, Y軸 = 0.5近辺)もいくつかある。この面分布におけるレーザーの集光スポット径は <20μm。

試料3 図6及び図7参照

図6

図6は中心波長<355.8nmのPLスペクトル。ピークを過ぎた赤線の箇所に注目すると、やはり試料2のようにPL強度が微弱である箇所が何箇所かあることが分かる。

下記の図7は、試料3を3Dマッピングしたものだ。ここでも発光のピークがあるのが見て取れる。このピークを数回確認したところ、PLスペクトルの中心波長で非常に強いピークがあった。

図7

試料4 図8及び図9参照
図8は、試料のPLスペクトルにおける半値全幅(FWHM)をMiniDで計算したときの測定結果だ。
これは自動的に得られるガウス分布に対する近似曲線である。

図8

中心波長は364.2nm。310nm付近で小さなピークが広範囲に見られる。
これは恐らく水分を含んだ有機汚染物が試料に付着したものだろう。さらなる評価を行ったところ、これはトリプトファン(自家蛍光物質)を含むフィンガープリント(自家蛍光パターン)であろうということが分かった。

図9

図9はマッピング解析の様子だ。試料表面の形状が非常に不均一で、光子の数(蛍光量)が1700~1000個の箇所でピーク強度の位置が異なっていることに注目。この解析プログラムでは、XY走査の設定を元に戻してウエハ上のピーク値を検出することも可能だ。

試料5 ZnO(酸化亜鉛)に関しては当文献の上部に記載

試料6 図10及び図11参照

図10

他の試料同様、ここでもPL強度は低い。また赤線のスペクトルの方は、減衰比の大きい状態が緩やかに変化する様子を示す。3200cm-1のスペクトル付近にラマンピークがあることにも注目してほしい。これはウエハ表面にある結合水であると思われる。この試料がなぜ水分を多く含むのかは定かではないが、恐らく自然に吸湿したものだろう。
下記の図11は、上記スペクトルをピーク波長344.7nmで3Dマッピングしたものだ。

図11

この試料は、すべての試料の中でも最も異なるPL測定による強度プロファイルを持っている。中心部の発光強度が比較的低い位置に、2つの突出したピークがある。

試料7 図12及び図13参照

図12

この試料からは最も高いPLピークを確認でき、半値全幅 <22.3nmで非常に鋭くなっている。
中心波長は <358.4nm。
試料表面を走査して得られたPLスペクトルを下記の図13に示す。

図13

この図では、ピーク強度が非常に高いことが分かるが、試料表面では30%以上のPL強度の変化がある。

図8及び図14では、試料から得られたスペクトルのPL強度が非常に微弱であることを示している。ここで、より大きな波長において蛍光が生じていたので走査範囲を拡げた。310nm付近のスペクトルも、フィンガープリントという形態で現れた有機汚染物によるものだと思われる。

図14

測定結果概要
図15は、すべての試料のPL強度を比較して示した様子。

図15

図16は、すべてのスペクトルのピーク強度を1で規格化した様子。

図16

この図は各試料のPL強度を比較したもの。OS上の線の色が見分けやすいように明るくなっているがご了承いただきたい。

未知試料の解析結果

試料 中心波長 CW発振におけるピーク強度
2 365.9nm 890
3 355.8nm 1076
4 364.2nm 3872
5 375.1nm 22057
6 344.7nm 1010
7 358.4nm 47254
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