テクニカルノート

⑧He-Neレーザーの縦モードの観察

2021年 09月08日

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ウォーミングアップ中のどの He-Ne レーザーの出力も、モニターすると縦モードサイクリングによる出力変動を確認できます。出力との相関で変動がどれぐらい大きいかを示す「モードスイープ率」という仕様さえ存在します。短いチューブでは、出力変動は20パーセントに近づくほどであるのに対し、長いチューブでは、2パーセント未満を示すものもあります。

ウォームアップ中の出力変動グラフ

走査型ファブリーペロー干渉計と呼ばれる装置の使用も含め、実際にレーザーのモードを「見る」多くの手法があります。ただし、たった1本か2本のモードだけの短いチューブでは、出力と偏光だけで非常に簡単に何が起こっているかを解釈することができます。必要なのは、フォトダイオード、回路試験器(あるいは継続読み出し可能なレーザー出力メーター)と偏光フィルター(1対の偏光サングラスあるいは写真用偏光フィルター由来のレンズ1個)です。出力モニターは 出射ビームと HR ミラー(高反射率ミラー)からの廃棄ビーム内に設置される偏光フィルターで構成できます。代わりに、非偏光ビームスプリッターを使用して2本のビームを作ることもできます。偏光ビームスプリッターを適切に加えると、2本の偏光方向が分離され、その内の1本が偏光方向の変化の変換を単純化します。

2モード安定化 HeNeレーザー

偏光子の方向を変えると、強度変化の振幅に影響を与えます。通常の赤色 He-Ne レーザーでは、縦モードは一般に2つの固定された直交設定に留まり、隣接するモードは通常互いに直交状態を保ちます。チューブが加熱してキャビティ長が増加するにつれて、上述したように、モードは片方の端で姿を消し、新しいモードが反対側の端から現われる形でゲインカーブに沿って行進します。ただし、行儀の良いチューブでは、モードは偏光をフリップ(エンベロープ内を行進中に偏光方向を突然変えること)しません。偏光子をチューブの偏光軸に対して45度で設置すると、出力値は一定のままとなります。偏光子をチューブの偏光軸に一致させると、出力値は最も大きく変動します。

特別な例として、120 mm のミラー間隔を持つ He-Ne レーザーチューブ(約 4.75 インチで市販されている最も短いレーザーチューブの1種)を考えてみましょう。このチューブは約 1.25 GHz のモード間隔に対応しており、ネオンゲインバンド幅で 1.5~1.6 GHz の FWHM (半値幅)に近いものです。
このチューブの場合、最大で2本のモードが常に発振しています。チューブのウォーミングアップ中に出力と偏光をモニターすると、非常に特徴的な挙動を観察できます。それは、単純な正弦波的あるいは同様の特徴を伴う、出力での周期的な変動のはずだろうと思うかもしれません。しかし、それぞれのサイクルには2つのピークが実際に存在します。ゲインカーブの中央に一本の発振モードがある時に対応する大きいピークと、ゲインカーブの中央辺りに対称の2つのモードがあるときに対応する小さいピークです。たいていのチューブでは、隣接するモードの偏光は直交し、モードに固定され続けます。そのため、モードがゲインカーブ内を現れては消えていくとき、連続した大きいピークが逆方向の偏光を持ちます。
小さいピークは両方向の偏光の合計と等量の成分を持ちます。2つのモードが発振していても、それぞれのゲインは発振の閾値にとても近いため、それらが統合された出力は、ゲインカーブのピークで一本(だけ)のモードが示す値よりも低くなります。ゲインカーブの末端でモードが現れそして消えていくとき、出力に突然の変化が生じることもあります。ただし、愛情を込めて「フリッパー」と呼ばれる一部のチューブでは、モードがゲインカーブを通過中に、その偏光が突然方向を変える傾向も見られます。この現象がわかりやすいのは、偏光フィルターを通してビームを見るときです。

モードフリップを起こしているグラフ(縦の緑色直線の間で赤と青が突然切り替わる)
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