テクニカルノート

⑪ マルチ横モード HeNe レーザー

2022年 03月16日

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説明してきましたように、ほとんどの HeNe レーザーは 1 本の横(空間の)モードすなわち TEM00 で動作するように設計されています。ただし一定のチューブの大きさで最も高い出力を得るために、あるいは設計の誤りによってより高次のモード構造のチューブが製造されることもあります。非 TEM00 モードも存在します。
もしも:

ボアが短か過ぎる。
ボアの径が大き過ぎる。
ミラーの曲率半径が小さ過ぎる。
ミラーがボア端から遠過ぎる(ボアが短か過ぎることと同意)。

これらすべてはほぼ同等であり、それらが意味するのは、2 本以上のモードが利用可能な活動的なモード体積内に収まっているということです。

マルチモードであるよう設計されたレーザーでは、教科書に載るような例のように見えないかもしれませんが、低次モードパターンが典型的です。六角形に密集した蜂の巣のようなモードパターンは例外というよりもむしろ法則です。なぜなら円形のボアは TEM11 や TEM22 などのカーテシアン(デカルト的)モードに対して有利には機能しないので。そしてマルチモードとして設計されたチューブは、 TEM01 あるいは TEM10 よりも高次のモードを持つことになります。マルチモードの HeNe レーザーは、同じチューブ長で TEM00 で駆動する同等のレーザーよりも 50~100%も上回る出力を持っています。

様々な横モードの例

メレスグリオ社製 05-LHB-570 などの単一ブリュースターレーザーチューブと短い曲率半径ミラーを使うなどの非常に広いボアを持つレーザーでは、高次モード構造が 1 ダースかそれ以上の数のスポットで多かれ少なかれランダムな(おそらくある種の六角形の)パターンで生成されるでしょう。(単一ブリュースターチューブなどの)キャビティの内側へのアクセスが可能な場合、マルチモードで稼働するレーザーを外部ミラーとチューブ端の間のストップ(絞り)を使用することで強制的に TEM00 で稼働させることができます。ただし出力に(多分実質的な)減少が起こるでしょう。両方のミラーが外部である場合、(再び若干の出力を犠牲としますが)より長い曲率半径ミラーを代用することで TEM00 モードを強いることも可能かもしれません。

単一ブリュースターチューブの例

TEM00 であるはずなのに設計ミスのせいで TEM01 あるいは TEM10 パターンが典型的なレーザーの場合、そのレーザーは中央にスポットビームがあったり無かったりするドーナツ(トーラス状)のような形のビームを発振することがあります。私は定格 12 mW(実際の出力は約およそ 13.5 mW です)で、そのようなビームを発振する数本の Aerotech 社製 HeNe レーザーを持っています。これは設計故かちょっとした間違いで製造され、ヘッドにはマルチモードを意味する「M」と書かれたラベルが貼られています。

同心円状横モードのいろいろ

しばしばミラーのわずかな不整合が本来TEM00のレーザーでマルチモード(おそらくTEM01あるいは TEM10)ビームを発生させることがあります。曲がっていたり不整合のボアも同様の結果を生みます。

たとえボアとミラーパラメータが正確で TEM00 動作をするとしても、ミラーやウインドウの内側の汚れかホコリの点(もし存在しているなら)や光学部品表面上の傷がマルチ横のモードビームをもたらすことがあることに留意してください。不幸にも HeNe レーザーチューブの内側に入ってしまったわずかのほこりに動いてもらうことは、いつでも簡単という訳ではありません!そうです、いつも起こる訳ではありませんが起こり得るのです。これが垂直にチューブを保管しない理由の一つです。私はテスラコイルをうまく使って軌道を外れた浮遊微粒子を帯電させ、静電反発で移動させている人がいることを知っています。人それぞれですね。

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