テクニカルノート

③距離測定のためのレーザー光源とマシンビジョン

2021年 11月26日

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高精度計測と検査システムのための半導体レーザー光源

Ulrich Oechsner 博士, Dr. Christian Knothe 博士, Mats Rahmel および Michael Schulz による

現代の計測技術には、工業タスクの厳しい要求項目用に特別に設計されたレーザーを使用することがしばしば求められます。 ますます多くの半導体レーザーが可視スペクトルである緑色と青色の領域で提供されるようになり、半導体レーザーベースのモジュールがUVから赤外までの全範囲を担うようになっております。 いろいろなビーム成形技術を用いて特定の測定タスクに必要な特定のビームプロファイルを生み出します。

図1:
上図内のレーザー光源は、必要とされるビーム形状を達成するために半導体レーザーを屈折用または必要に応じて回折用光学部品が組み合わされております。 ビームの形式と形状はアプリケーションの広い多様性に対応し、三角測量やレーザー光セクショニングに理想的な線レーザー、レーザー回折には不可欠なセミテレセントリックビーム、粒子計数および計測用のレーザースポットなどがあります。 線レーザー、レーザースポットあるいはコリメーターなどの基本的な分類内でも、それらの物理的特性で大きく異なる変種が存在します。

線レーザーとスポットは何のため?

1つの当てはまるアプリケーションはレーザー三角測量であり、レーザー光セクショニングとも呼ばれ、それは線レーザーの最も一般的な応用です。3D計測技術が、前もって定められた照射セクションの形状(図2)を決定します。 撮像カメラは走査対象物に対して直接的に垂直に設置されます。 カメラは線レーザーが対象に対してある角度で照射された横方向の位置ズレと歪みを計測します。 記録されたカメラ撮像には照射レーザービームによって定義されたセクションから得られた高さ情報のすべてが含まれており、それらを解読して、対象物が線レーザーカメラ検出システムを通過したときの 3D 高さプロファイルを生成します。

図2a:
レーザー三角測量で対象物をプロファイリングする。
図2b:
カメラから得られた画像。 線レーザーの相対的な位置ズレはその位置での対象物の高さに関する情報を提供します。

測定している部分の深さとその解像度は、分析用線レーザーの平面とカメラレンズの光軸の間の三角測量角度で決まります。分析用照射線レーザーの角度が大きいほど、記録可能な高さ変位の範囲を大きく取ることができます。

粒子計数および計測はもう1つの重要なアプリケーションであり、線レーザーあるいはレーザースポットを用います。 最も単純な設定では、レーザービームを通過する粒子から反射された光を検出器が記録します。

他のアプリケーションでは、半導体レーザーエミッターの小ささを活用します。 1μmx3μm サイズの典型的なエミッターがあれば、長焦点光学部品と組み合わされたシングルモード半導体レーザーが非常に小さいビーム拡がり角(典型的な 0.03mrad)の大きなレーザービームを生み出します。 これらのレーザー光源は幅および隙間計測に使用され、単純に影を用いたり、あるいはより洗練されたケースでは、ビーム内に置かれた対象物の回折パターンを用います。

ビーム特性

例えば線レーザーを主に特徴づけるのはそれらの長さ、幅と稼働(可能)距離です。 測定分解能はしばしば線レーザーの幅によって決定され、レーザースペックルの制限を受けます。 様々な高さを持つ対象物を計測する場合には、 十分なフォーカス深度を考慮する必要があります。 線レーザーのファン角度はその選択に際して決定的要素となります。短い測定距離での長い線には、大きなファン角度が必要となります。

いわゆるセミテレセントリック線レーザーは、ファン角度がゼロで、光沢表面や反射ベースの計測技術には適切となる場合もあります。 さらに、波長、コヒーレンス長、出力および出力ノイズなどの重要なパラメータが他にも存在し、それらを考慮してから特定の計測タスクのためにレーザー光源を選択する必要があります。 こうした点の一部が、これからさらに詳しく論じられます。

波長

半導体レーザー光源は、近紫外の 375 nm から赤外の2300 nm までの波長範囲で利用可能です。ほとんどの検査システムの場合、使用可能な波長はカメラの感度で限定され、可視スペクトル範囲の 400-700 nm および 近赤外の最短域(せいぜい 1000 nm)までです。
可視範囲内では、(使用できる)波長は半導体レーザーで得られる波長によって限定されます。スペクトル中にはさらに若干のすき間があり、販売されている中では、紫(405 – 410 nm), 青(415 – 488 nm), 緑(515 –520 nm), 赤(635 – 690 nm) の半導体レーザーが利用できます。

非常に薄い線レーザーあるいは小さいスポットが必要とされる場合には紫あるいは青がよく利用され、フォーカス深度は重要ではありません。 他のほとんどのアプリケーションは赤色レーザーで稼働し、ここでは価格対性能比が重視されます。

マイクロ線レーザーとマクロ線レーザー

センサーの信号強度を最大化にするために薄い線レーザーがよく好まれます。 必要とされる解像度が標準的な線レーザーの幅と比較して小さい場合にも、それらが必要とされます。線レーザーが、集束ガウシアンビームの回折限界の理想に非常に近い場合には、それをマイクロ線レーザーと呼びます。線レーザーの幅はまだ波長と稼働距離などのパラメータに依存しますが、これらの線レーザーはそれぞれの場合において物理法則内で可能な最小の線レーザー幅を提供します。

ただし、薄い線レーザーはその浅いフォーカス深度による制限を受けます。 線レーザーの幅(厚み)は増加し、線レーザーのフォーカスが外れる(図3a)と、出力密度は劇的に低下します。

図3:マイクロ線レーザー
(a) はフォーカス位置で高い出力密度を示しますが、その幅が増加し、出力密度がこのポイントの外側ではかなり減少します。

名目上の稼働距離の範囲では、線レーザーは係数 1.41を超えて増加することは無く、通常その線レーザーのフォーカス深度として特定されます。 幅 B で波長 λのマイクロ線レーザーの場合、フォーカス深度はいわゆるレイリー長(レイリー長 zR の2倍)となり、以下の公式で定義されます。

2zR = πB2/ 2λ.

例えば 660 nm(赤)で 10 μm 幅の線レーザーの場合、レイリー長はほんの 0.15 mm となります。例えば、1 mm の高さ変動がレーザー三角測量で計測されている場合、これは確かに適当ではありません。

いわゆるマクロ線レーザーは拡張されたフォーカス深度を持ちます。フォーカス深度の範囲内では、線レーザー全体での強度プロファイルはほぼガウシアンであり、回折によるサイドローブ(延長部)は、フォーカス深度の範囲(図3b)内で 13.5%強度レベルを下まわり続けます。幅 B で波長 λ のマクロ線レーザーの場合、フォーカス深度2zM は以下の公式で定義されます。

2zM = 1.75 πB2/2λ

図3:マイクロ線レーザー
マクロ線レーザー (b) は低い出力密度と広いフォーカス深度を持ちます(約 7~40 倍も大きい)。

特定の線レーザー幅Bでは、マクロ線レーザーのフォーカス深度は、同等のマイクロ線レーザーのそれのほぼ2倍です。同じ稼働距離において、マクロ線レーザーはマイクロ線レーザーより2~5倍広く、フォーカス深度は約7~40の係数で拡張されます。

レーザースペックル

レーザースペックルは複数の干渉、例えば光学的にでこぼこの表面上(高さ変動 >λ/4)でのレーザー放射の拡散反射から生じます。

例えば、ビームプロファイリングシステムのカメラなどで直接に観察したレーザービームは滑らかに見えます。 同じビームをでこぼこの表面に向けてからカメラセンサーに映し出すと、典型的なスペックル強度パターンが現われます。

スペックルのコントラストとサイズは、測定ジオメトリに加えてスポットサイズと光学部品の口径のサイズに依存します。 線レーザーの場合、レーザースペックルが映し出された線レーザーの同種性を乱します。
レーザースペックルの粒状性は線レーザーを映し出すために使用する対物レンズの口径設定に依存します。小さいf数(大きいレンズ口径)では、発生するスペックルは高い空間周波数を持ち、より同質的な画像を生成します(図4a を参照)が、より大きいf数(大きいレンズ口径、図4b を参照)の場合は、スペックルがより粒状でざらついて見えます。

図4:小さいf番号 k=2.8(a) および大きいf番号 k=22(b)で画像化したレーザースペックル挙動。

レーザースペックルの発生はほとんどの場合避けられません。 レーザー光セクショニングの原理は(例えば、)ざらざらした手触りで光学的に拡散して反射している撮像表面に依存します。

スペックル効果の実質的な削減を達成するには、以下の方法があります:

• 対物レンズに大きいレンズ口径(小さいf数)を選択し、フォーカス深度(図4)の縮小という犠牲により、スペックルのサイズを削減します。
• スーパールミネッセントダイオード(SLD)あるいは LNC シリーズレーザーなどの低コヒーレンス長のレーザービーム光源を選択します。

低ノイズかつ低コヒーレンスの半導体レーザーモジュール

従来のシングルモード半導体レーザーは半導体レーザーであり、通常1本の必要とされる縦モードで駆動します。 ただし、半導体レーザー素材は温度依存を示してゲインプロファイルと屈折率を変化させるため、ダイオードは異なる縦モードを行ったり来たりします(モードホップ)。

このモードホップは出力波長を数ピコメートル差で上下動させます。温度安定していないシングルモードダイオードでは、出力は3%ほど不定期に変化します。

出力ノイズとモードホップという望ましくない特性は、高周波数で半導体レーザーの電流を変調することにより、低ノイズ半導体レーザーモジュール LNC -シリーズでは排除されています。この RF 変調は多数の縦モードを励起すると同時に、信号ノイズを<0.1 % RMS まで大幅に低減します。制御され安定した方法によるスペクトルのこの誘発拡張には、レーザービームのコヒーレンス長をかなり減らすという更なる利点がある代わりに、レーザースペックルのコントラストが減少し、干渉縞(の発生)を防ぎます。

RF 変調半導体レーザーの顕著な利点がいっそう明白になるのは、標準的な半導体レーザーの望ましくない特性と比較する時です。

標準的な半導体レーザー(図5参照)と比較して、干渉挙動も含めてノイズ、スペクトル、レーザースペックルは低ノイズ半導体レーザーモジュールではすべて改善されております(図6参照)。

図5:標準的な半導体レーザービーム光源の特性。
高ノイズ、モードホップ、レーザースペックルと不必要な干渉が光学解像度を制限することがあります。
図6:低ノイズ半導体レーザー光源の利点
低ノイズ a) 、幅広いスペクトルb)、低レーザースペックルc)、低干渉d)

低ノイズ

図5a と 6a で、2つのダイオードのノイズプロファイル(1MHz のバンド幅、60分間採取)が比較されています。ピークノイズ値は標準的な半導体レーザーでは1%を超えますが、低ノイズ半導体レーザーモジュールの RF 変調がノイズを検出限界に近い <0.1 %まで低減します。

モードホップ無し

RF 変調が無いと、レーザーはいくつかの発振モード(図5b 、異なる色付)を確率的に行ったり来たりします。 RF 変調を掛けると、共振器(図6b)のゲインプロファイル内で多数のモードが励起され、1.5nm FWHM(半値全幅)の幅広いスペクトルを生み出します。

低レーザースペックル

図5c と 6c に対応するレーザースペックル挙動が示されています。 完全にコヒーレントなレーザー光源を使用するより厚い線レーザーとより大きなレーザースポットの場合、レーザースペックルコントラストは1となり、レーザースポット内にゼロ強度のエリアが存在することになります。

複数のレーザーモード発振は、低ノイズ半導体レーザーのコヒーレンス長を<300 μm に減少させ、スペックルのコントラストとサイズもより小さくなります(図5c と図6c を比較)。

留意すべきは、この利点はより薄い線レーザーとより小さいレーザースポットにはあまり当てはらないということです。例えば 10 μm の薄い線レーザーの場合、レーザースペックルが生じるのに必要なコヒーレンス長がありません。

少干渉

低コヒーレンス長のもう1つの効果が図5d と 6d で観察できます。 コリメート(平行光化)レーザービームの記録が示すのは、標準的な半導体レーザー(図5d)を使用すると見られる邪魔な干渉縞エリアであり、それはエリア走査カメラの検出器の保護ガラスウィンドウでの内部反射の結果です。
低ノイズ半導体レーザーモジュールのコヒーレンス長はガラスの厚さよりも短いため、干渉は排除されます(図6d)。

製品選択ウィンドウ

線レーザー発生装置やレーザースポットおよびコリメーター用の新しいオンライン製品選択ウィンドウを開くと、必要とされる線レーザー長や幅、波長、強度プロファイル(ガウシアンまたは定形)などをその他のレーザーパラメータと共に挿入することができます。製品選択ウィンドウは製品の検索を最も関連性の高い選択まで素早く容易に行うことが出来、それぞれのアプリケーションにとって最も適切なレーザーを選択することができます。

要約

線レーザーのフォーカス深度の必要条件に依っては、高い出力密度とより小さいフォーカス深度を持つマイクロ線レーザーか、あるいはより大きい線レーザー幅と拡張したフォーカス深度を持つマクロ線レーザーのどちらが適切かが変わってきます。 低ノイズで低コヒーレンス長の特別な変種によって計測結果を改善することもできます。新しい Schafter+Kirchhoff 社ウェブサイト内のオンライン製品選択ウィンドウは、それぞれのレーザーに関する情報を速くかつ容易に提供し、最も適切な選択への検索を絞り込む助けとなります。

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