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ラマン分光に適したCobolt社製Mambo™ 594nm

2019年 01月24日

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「光の非弾性散乱」または、ラマン効果は1928年にC.V.ラマンによって初めて実際に発見され、これにより彼は1930年にノーベル賞を受賞した。それ以来、あらゆる分野にわたってラマン分光が登場発展し、材料分析で優れた成果を発揮している。

従来、ラマンの研究では、ラマンスペクトルの測定にイオンガスレーザを使用していたが、近年では、さらに高度でメンテナンス頻度を低減した技術、DPSS(半導体励起固体)レーザーにより、優れた分析を実現している。

図1及び図2は、アルゴンイオンガスレーザー(Coherent社製Innova 90 514.5nm)で得られたラマンスペクトルとCW・DPSSレーザーであるCobolt社製Mambo™ 25mW(どちらもフィレンツェ大学化学部のDr. Alessandro Feis氏により提供)で得られたラマンスペクトルを比較したものである。試料はいずれも純粋なCCI4(四塩化炭素)で、試料における出力はほぼ同じだ。検出器はPrinceton Instruments社製Spec 10-100 CCDシステムを使用している。

図1:アルゴンガスレーザー(Coherent社製Innova 90 514.5nm)で得られたラマンスペクトル
(フィレンツェ大学化学部のDr. Alessandro得られたラマンスペクトル(フィレンツェ大学化学部のDr. Alessandro Feis氏により提供)
図2:Cobolt社製Mambo™ 594nmで得られたラマンスペクトル
(フィレンツェ大学化学部のDr. Alessandro Feis氏により提供)

λ4波長板を使うと、594nmの励起波長を用いた場合よりも514.5nmの励起波長を用いた場合の方がラマン散乱光の強度が1.7倍高い。さらに、回折格子に波長が514.5nmの光を入射させると特定の進行方向における回折光の強度が高くなるのでCCD検出器の信号をより高感度に検出できる。その結果、露光時間を514.5nmの励起波長では5秒間、594nmでは30秒間にしたときに、ほぼ同じ強度のラマン強度を測定することができる。

従って、絶対強度とSN比の絶対値の間を比較することは不可能だ。しかし、CCD検出器からの測定信号(CCDダイナミックレンジのうち約10%)が暗電流の影響を恐らく受けていない場合のスペクトル領域(添付写真を参照)を比較すれば、SN比に関する情報の手がかりがいくつか得られる。S/N比は両方のスペクトルにおいて類似しており、高純度のスペクトルを出力していることを示している。すなわち594nmレーザーでは側波帯が全く生じない。これは、PPKTP(周期分極反転構造をもった リン酸チタニルカリウム[KTP = KTiOPO4])結晶を用いたCobolt社の周波数倍増技術によるものだ。

図3は、生体試料の共鳴ラマンスペクトルを測定する際に得られた典型的スペクトルを示したものである。蛍光バックグラウンドの影響が大きい場合には、その上に弱いラマンバンドが現れている。蛍光/ラマン強度比が良好な生体試料もあれば、強度比が望ましくない生体試料もある。

図3:生体試料の共鳴ラマンスペクトルを測定する際に得られた典型的なスペクトル
(フィレンツェ大学化学部のDr. Alessandro Feis氏により提供)

図4は、モノクロメーターで測定したCobolt社製Mambo™レーザーからの出射光を示したものである。10スペクトル/秒の連続的なデータ取得が可能で、スペクトルピクセル分解能は0.45cm-1/pixelである。

図4:モノクロメーターで測定したCobolt社製Mambo™レーザーからの出射光
(フィレンツェ大学化学部のDr. Alessandro Feis氏により提供)

4時間以内であれば出射光において大きなシフトは全く見られないため、この594nmレーザーが非常に優れた波長安定性を有していることがはっきりとわかる。

結論から言えば、Cobolt社製Mambo™ 594nmレーザーはラマン分光に非常に適した分析ツールだということだ。
ラマンシステムの光源として分析性能はガスレーザーと変わらず、Cobolt社製Mambo™ 594nmレーザーは、むしろガスレーザーと比べて設置面積が小さく、長寿命で、メンテナンスが低コスト化しているという利点を有している。

Cobolt社製Mambo™ 594nmレーザー

典型的なノイズ性能及びスペクトル純度
Cobolt社製Mambo™ レーザーは、小型で密閉構造をした筐体を光源にもつオレンジ色(橙色)CW・DPSSレーザーであり、波長は594nm、出力は最大100mWである。高品質(TEM00モード)で高い集光性をもつビームだけでなく、非常に低い強度ノイズ、優れたスペクトル純度、波長安定性を実現している。


Cobolt社製Mambo™ レーザーの典型的なノイズ性能から、P-P値が<3%, RMS値が<0.3%であることがわかる。このようなシングルモード・DPSSレーザーは、ラマン分光の分析ツールとして非常に有望である。なぜなら、出力安定性、低い強度ノイズレベル(RMS値:<0.3%)、スペクトル純度、波長安定性TEMモードで集光性の高いビーム品質(M2<1.1)がどれも極めて優れているからだ。これらは最適な測定結果を得るのに、すべて必要な性能特性である。

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