VALO 単一周波数レーザー|原子・分子・光物理(AMO)研究向け|高出力・狭線幅レーザー

製品カテゴリ
波長
300~400nm400~500nm500~600nm600~700nm700nm~
メーカー
VEXLUM
  • 新商品

VALO™ シリーズ

原子・分子・光物理(AMO)分野向け|高出力・狭線幅レーザー

VEXLUM社 VALO™ は、原子・分子・光物理(AMO)分野や量子研究向けに開発された、
高出力・狭線幅の単一周波数(単一縦モード)連続波レーザーです。
高いコヒーレンスと安定性を兼ね備え、精密分光や量子計測など、
周波数安定性が重要な実験に最適な光源を提供します。

VALOは、基本波で最大10Wという高出力を実現しながら、
瞬時線幅100Hz以下のシングル周波数発振を両立しています。
可視域では効率的な倍波(SHG)構造を採用し、
350nm〜2150nmの広い波長レンジをカバーできる点も大きな特長です。

VECSEL(垂直外部共振器型面発光レーザー)技術をベースとした設計により、
コンパクトかつ低消費電力で、安定した高品質ビームを生成します。
レーザー発振・倍波・周波数制御を一体化したターンキーシステムのため、
複雑な調整を必要とせず、研究現場ですぐに高性能を引き出すことが可能です。

 

  • 高出力:最大 10 W (700–2150nm SF)
         最大 3 W (350–800nm SHG)
  • 広帯域チューナブル:波長範囲 350–2150nm をカバー(モデルに応じ基本波+SHG)
  • 超狭線幅:瞬時 < 100 Hz、短時間(100μs) < 100 kHz
  • モードホップフリー調整:キャビティ内圧電素子により最大約10GHz連続周波数走査
  • 優れたビーム品質:M² < 1.1(単一横モードTEM00)
  • 低ノイズ・高安定:RIN < 0.05%(10Hz–3MHz)、出力安定性 < 0.5% (8時間)
VALO™ シリーズ
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VALO™ シリーズ
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主な特長・仕様

SF SHG
ターゲット波長 700-2150nm 350-800nm
自由空間出力(1) 0.5-10W 0.01-3W
粗調整(2) 5-100nm 0.5-10nm
ビーム品質 M2<1.1 TEM00

(1) 出力は波長に依存します。
(2) 粗調整範囲は波長および出力に依存します。

高出力単一周波数レーザー設計(最大10Wのシングルモード出力)

VALOは半導体ベースのVECSELゲイン媒体を用いることで、単一縦モードの連続波レーザーとしては桁違いの高出力を実現しています。
従来、狭線幅レーザーで数W以上の出力を得るには複数段の増幅器構成が必要でしたが、VALOでは増幅機能をレーザー内部に組み込む「ディスクレーザー」構造により、コンパクトなヘッドから直接ワット級の出力を引き出せます。これにより、高強度の光が必要な実験(例えば多重ビームを用いた光学トラップや高強度場の量子制御)でも、単一光源で十分なパワーを供給可能です。

また、二倍波発生(SHG)を行うモデルでは、可視光領域でもワット級の単一周波数レーザー光が得られます。一般的に可視域の単一モード高出力レーザーは希少ですが、VALO SHGモデルでは基本波レーザーを共振器内で効率良く周波数変換することで、可視光(350–800nm)においても最大数Wの出力を提供します。この高出力可視光レーザーは、リュードベリ原子励起や量子ドットの励起など、高い光強度が要求される応用にも余裕を持って対応できます。

広帯域の波長カバー範囲(350–2150nmのチューナビリティ)

VALOシリーズは近赤外から可視域に至る非常に広い波長レンジをカバーしています。基本波発振(SFモデル)では700–2150nm、SHGモデルでは350–800nmという広帯域の中から目的の波長を選択可能です。一つのレーザーシステムで複数の波長域に対応できるため、実験ごとに異なるレーザーを用意する手間を削減できます※1。例えば、あるモデルではルビジウム原子の冷却用波長780nmに設定し、
別のモデルではストロンチウム光格子時計用の698nmに設定する、といったように幅広い原子種・分子種の遷移に合わせて波長を選択できます。

波長の粗調整範囲も広く、ゲイン帯域全体で数十nmにわたる調整が可能なため、単一のレーザーで複数の異なる遷移線をカバーすることが可能です。さらにピエゾ制御による高速なモードホップフリー周波数スキャン機能を備え、約GHzオーダーの連続スキャンが可能です。これにより、分光実験では広い周波数領域をシームレスに走査してスペクトルを取得でき、共振周波数の探索や安定化を容易に行えます。幅広い波長チューニング性と安定性を兼ね備えたVALOは、様々な実験環境で汎用的な光源として活躍します。

超狭線幅・低ノイズ発振(高い周波数安定性)

VALOは内部に高安定エタロンや電気光学変調器(EOM)を組み込むことで、フリーラン状態でも瞬時線幅が100Hz以下という極めて狭い線幅を達成しています。オプションの高速EOMフィードバックによりサブHz級のライン幅を実証しており、長いコヒーレンス長を必要とする干渉計測や光周波数コムとの位相ロック用途にも十分対応できるスペクトル純度を備えています。狭線幅レーザー発振により、例えば光学時計の遷移やラムゼー干渉計測において要求される高Q値の共鳴を鋭く分離して観測することが可能です。

強度安定性・雑音特性にも優れ、10Hz–数MHz帯域で相対強度ノイズ(RIN)は0.05%未満という低ノイズ動作を示します。加えて、長時間出力安定性も優秀で、8時間以上連続運転しても出力揺らぎを0.5% RMS以下に抑えています。このような低ノイズ・高安定なレーザーは、原子トラップや干渉計測などの繊細な実験系で系統的誤差や揺らぎを最小限に抑え、再現性の高い実験データ取得に貢献します。

VECSELアーキテクチャによる高安定・コンパクト設計

VALOが採用するVECSEL(垂直外部共振器型表面発光レーザー)技術は、半導体量子井戸構造を増幅媒質とした外部共振器型レーザーで、コンパクトさと高性能を両立しています。半導体レーザーの利点である高い電気光変換効率と、外部共振器によるモード選択性を組み合わせることで、単一横モード(M2<1.1)かつ高出力のビームを実現しています。共振器内に非線形結晶やEOMなど各種光学素子を組み込む柔軟な設計が可能で、三段階機能(シード光源+増幅+SHG)を1台に統合した「3-in-1」レーザープラットフォームとなっています。その結果、可視光での高出力やサブHz線幅といった付加機能を追加モジュール無しで実現でき、システム全体のシンプル化と信頼性向上に寄与しています。

レーザーヘッドは約6リットル程度の小型サイズで光学台上にも直接設置可能なため、実験装置への組み込みが容易です。制御エレクトロニクスと冷却ユニットは標準19インチラックに収められ、研究室のラックシステムや計測機器群と調和する形で設置できます。堅牢な筐体設計と適切な放熱・温調機構により、環境変動や振動によるビーム影響を最小限に抑え、長期間にわたり安定した動作を提供します。
これらの設計思想は産業用途向けモデル(VXLシリーズ)で培われた24/7連続運転ノウハウに裏打ちされており、研究用途においても保守の手間を減らし実験に集中できる高い信頼性を実現しています。

アプリケーション|VALOが適する応用分野

広い波長範囲にわたる狭線幅・単一周波数出力を活かし、VALOは先端的な量子研究や精密計測の現場で威力を発揮します。
350–800nmの可視光から700–2150nmの近赤外までカバーすることで、多様な原子・分子の遷移周波数に対応可能であり、高い周波数安定性と出力安定性は長時間に及ぶ実験でも信頼性をもって動作します。以下にVALOレーザーが特に有用とされる主な応用例を示します。

レーザー冷却・光トラップ

  • レーザー冷却(中性原子の磁気光学トラップMOTなど)
  • 光トラップ・光格子による粒子トラップ
  • ボース=アインシュタイン凝縮(BEC)の実現

VALOシリーズの可視光出力(350–800nm)は、代表的な中性原子の共鳴遷移波長を網羅しており、ルビジウムやセシウムなどアルカリ原子のD線や、ストロンチウムなどアルカリ土類原子の冷却遷移にも対応可能です。高出力で単一周波数の光ビームは、一台のレーザーから複数の冷却光・トラップ光ビームを分岐しても十分な強度を保てるため、大量の原子を同時にトラップし深いポテンシャルの光学トラップを形成できます。狭い線幅と安定した周波数ゆえに、原子の共鳴周波数に対するデチューニングを長時間一定に維持でき、冷却効率の向上や安定なMOT動作に寄与します。さらにモードホップのない連続周波数掃引機能により、MOTの最適周波数を精密にチューニングできるため、実験ごとに異なる条件下でも迅速に安定したレーザー冷却を実現できます。

リュードベリ励起・量子ビット操作

  • リュードベリ原子の励起(中性原子の量子シミュレーション)
  • 中性原子量子ビットの制御(ラマン遷移やRydbergゲートによる量子操作)
  • イオントラップにおけるレーザー操作(イオン量子ビットの読み出し・ゲート)

中性原子系の量子コンピューティングや量子シミュレーションでは、高励起状態であるリュードベリ状態への遷移や、基底・励起状態間の二光子遷移による量子ビット操作が鍵となります。VALOは例えばルビジウム原子でリュードベリ励起に用いる480nm前後の波長にも対応可能で、高強度な可干渉光を供給できるため、リュードベリ原子間相互作用を用いた量子シミュレーションや量子ゲート実現に十分な光強度と安定性を提供します。位相コヒーレントな単一周波数レーザーであるVALOは、複数ビーム間での安定な周波数差制御が要求されるラマン遷移型の量子ゲートにも最適です。モードホップフリーかつ狭線幅な特性により、ゲート動作中の位相や振幅のノイズを極限まで低減し、高忠実度な量子ビット制御を可能にします。さらに、Ca+イオンの397nmレーザー冷却や729nm量子遷移、Yb+イオンの370nm帯レーザーなど、イオントラップ実験で必要とされる波長にも対応しうるため※2、イオン量子計算分野でもVALOの高安定レーザーが有用です。

光学時計・精密分光

  • 光格子時計・原子時計用レーザー(Sr 698nm、Yb 578nm など)
  • 高分解能分光・ラムゼー分光法
  • 周波数標準の基準光源

光学式原子時計や高度な精密分光実験では、極限まで狭い線幅と安定した周波数を持つレーザーが不可欠です。例えばストロンチウム光格子時計で用いられる698nmの遷移は自然線幅が数Hz程度しかなく、その共鳴を観測するにはレーザーの線幅がHz以下であることが求められます。VALOであれば目的の遷移波長に合わせた構成でサブHz級のレーザー線幅を実現でき、光学時計用レーザーとして必要なコヒーレンスを十分に確保できます。実際、EOMを用いたフィードバックによりVALOはHz未満の線幅を達成した実績があり、長時間の周波数安定化運転でもドリフトを最小限に抑えて測定の信頼性を支えます。

また、VALOの安定な波長出力は高分解能分光やラムゼー干渉計測においても威力を発揮します。モードホップの無い連続周波数掃引機能により、極細幅の吸収線や遷移を滑らかに走査してプロファイルを取得でき、スペクトル線形の精密な評価が可能です。更に外部の超低膨張光共振器や周波数コムにレーザーをロックすることで、VALOを周波数標準機として運用することもできます。研究室標準のリファレンス光源として、あるいは他のレーザーのシード光としてVALOを用いることで、全体の計測精度と安定度を向上させることができます。

量子ドット・ナノフォトニクス実験

  • 量子ドットの共鳴励起・分光
  • 固体中の量子欠陥(NVセンターなど)の光学的特性評価
  • 半導体ナノ構造・微小共振器の分光実験

固体量子エレクトロニクスやナノフォトニクスの研究分野でも、VALOの持つ特長は大きなメリットになります。量子ドットやダイヤモンド中のNVセンターといった固体中の量子エミッタを研究する際には、ターゲットとする励起遷移にレーザー波長を厳密に合わせ、狭帯域の共鳴励起を行う必要があります。VALOは目的の遷移波長へ精密に調整可能で、例えばNVセンターの共鳴励起に必要な637nm付近の波長の単一周波数光も発生できます。狭線幅レーザーにより不要な波長成分による背景励起が起こらず、目的の遷移のみを選択的に励起できるため、量子エミッタの高コントラストな分光解析が可能です。

さらに高い出力が得られることで、複数の量子ドットを同時に励起して相関を測定したり、飽和分光法によって遷移の自然幅に迫る測定を行ったりする場合にも、VALOは十分な光パワーを提供します。広い波長可変範囲を持つため、一台のレーザーで様々なサイズ・材質の半導体ナノ構造に対応する異なる発光ピークを連続的に調べることができ、試料特性の包括的な評価に貢献します。研究開発向けのレーザー光源として、VALOはナノスケールの光学計測からマクロな量子技術実験まで、幅広い領域で欠かせないツールとなります。

※1 VALOは出力波長毎に最適化されたモデル構成(半導体ゲインミラーや共振器調整)が提供されます。
コースチューニング範囲は中心波長や出力設定に依存し、最大で約10THz幅(ゲイン媒体の利得帯域に相当)をカバーします。

※2 VALOの最短波長は350nm程度ですが、四倍波などを用いないと到達できない真空紫外域(VUV)の遷移には直接対応できません。
イッテルビウムイオン(Yb+)の369nm冷却線など、一部波長は対応範囲ぎりぎりとなるため事前のご相談を推奨します。

アプリケーション

  • 量子技術
  • 新分野・その他

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