二光子重合(2PP)に最適なレーザー条件とは?|LaserAtWork社 HUMMINGBIRDシリーズ

2025年 12月10日

ナノ~マイクロスケールの三次元微細構造を形成する
二光子重合(2PP: Two-Photon Polymerization)は、
微細加工・光学部品・マイクロ流路・MEMSなど、
工業・学術の双方で急速に利用が広がっています。

2PPの加工品質を決定づけるのは、“どのレーザーを使うか” です。
波長、パルス幅、繰返し周波数、ビーム品質など、最適化すべき項目が多く、
間違ったレーザーを使うと

  • 解像度が落ちる
  • 造形速度が遅い
  • 焦げ・熱影響が増える

といった問題が簡単に生じます。

この記事では、2PPに求められるレーザー仕様を体系的に整理し、
LaserAtWork社の HUMMINGBIRD-515 がなぜ2PPに適しているのかをわかりやすく解説します。

  ◎製品詳細はこちら

🪽波長:2PPでは515nm帯が有利になる理由

2PPは「二光子吸収」を利用したプロセスであり、
樹脂(レジスト)の吸収特性が重要です。

多くの2PP材料は可視域で二光子吸収効率が高い
という特性を持っており、特に 515nm付近 は以下の理由で有利です。

  • 樹脂の吸収クロスセクションが大きい
  • 焦点での非線形吸収が強く、加工効率が高い
  • 集光性が高く、最小スポット径を狙いやすい
  • 光源のビーム品質が反映されやすい
  • レジストの選択肢が豊富

結果として、より小さなボクセルサイズ(高解像度)と
高速スキャン(高スループット)の両方を実現しやすくなります。

HUMMINGBIRD-515は中心波長516 nm、M² < 1.1 の高品質ビームで、
2PPに最適な波長帯を精密に出力できます。

🪽 パルス幅:100~200 fsが2PPの“黄金レンジ”

2PP加工には高いピークパワーが必要で、これを実現するにはフェムト秒パルスが必須です。
2PPの一般的な最適値は

100〜200 fs

この範囲では

  • 高いピーク強度
  • 熱影響の低減
  • 安定したボクセル形成
  • 過度な材料分解の防止

といったバランスが良く、実際に多くの商用2PP装置がこのレンジを採用しています。
HUMMINGBIRD-515は典型150 fs で動作し、
極めて扱いやすい“中庸かつ高効率なパルス幅”を備えています。

🪽 繰返し周波数:50 MHzは造形速度に直結する

2PPでは、パルス1発ごとのエネルギーよりも
平均出力と高繰返しが造形スピードに大きく効きます。

  • 高繰返し → スキャン中の連続的な露光
  • 平均出力(W) → スループットの上限
  • パルス密度 → 均一なボクセル形成

HUMMINGBIRD-515の繰返し周波数 50 MHz は、
高速2PP加工に非常に適した値です。
パルス密度が高いため、

  • ガタつきのない平滑な構造
  • 高速ガルバノスキャン
  • 高精細な3D造形
    が容易になります。

また、平均出力 >0.5W は、研究用だけでなく、
量産2PP装置でも十分対応可能なレベルです。

🪽 ビーム品質:加工解像度を決める最重要パラメータ

2PPの解像度はレンズ性能×レーザーのビーム品質で決まります。
M²が悪いと

  • 焦点スポットが膨らむ
  • ボクセルサイズが大きくなる
  • エッジがにじむ
    など致命的な問題を引き起こします。

HUMMINGBIRD-515はM² < 1.1 のTEM00に近いビームで、

  • 極小フォーカス
  • 高均一ボクセル
  • 高精度微細加工
    を実現しやすくなります。

🪽 小型・空冷・USB給電:装置側のメリットが圧倒的

2PP装置は

  • 光学ステージ
  • ガルバノスキャナ
  • レンズ
  • XYZ精密ユニット

など構成要素が多く、内部スペースが不足しがちです。
HUMMINGBIRD-515は

  • 70×58×28mm の手のひらサイズ
  • USB Type-C(20V PD)で動作
  • 完全空冷

という仕様により、装置内部への直接組込みが容易。
外付けレーザー不要で、

  • 光路距離短縮
  • 振動・熱影響減少
  • 設計自由度の向上
    を同時に実現できます。

🪽 まとめ:2PPに最適化された“理想の組み込み型フェムト秒”

二光子重合では

  • 波長(515nm)
  • パルス幅(150fs)
  • 高繰返し(50MHz)
  • 高ビーム品質(M²<1.1)
    が特に重要で、HUMMINGBIRD-515はこれらの条件をすべて満たしています。

さらに、装置組込みを前提とした世界的にも珍しいフェムト秒レーザー であり、
2PPを活用する装置メーカーにとって非常に強力な選択肢となります。

2PP装置開発・微細加工研究・OEM検討の方は、
ぜひお気軽にお問い合わせください。

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