分光用レーザー光源になぜフェムト秒パルスが適しているのか|LaserAtWork社 HUMMINGBIRDシリーズ
2025年 12月01日
分光・計測装置を設計する技術者にとって、レーザー光源の選定は装置性能を左右する重要な要素です。
特に時間分解能が求められる分光・非線形光学・コヒーレント計測といったアプリケーションでは、
フェムト秒レーザー が圧倒的な優位性を持っています。
LaserAtWork社の HUMMINGBIRDシリーズ(515nm/1030nm) は、
わずか数cmの筐体にフェムト秒パルス、安定動作、空冷・USB給電という
革新的仕様を収めた、分光用途に最適な超小型光源です。
本記事では、なぜフェムト秒レーザーが分光用途に適しているのか、
その理由とHUMMINGBIRDシリーズが提供する価値を解説します。
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🪽 フェムト秒パルスが分光に最適な理由①
★時間分解能が桁違いに高い
フェムト秒レーザーは 1 fs(=10⁻¹⁵秒) という極短パルスを発生します。
このパルス幅がそのまま「時間分解能」を決めるため、
picosecond(10⁻¹²秒)やnanosecondレーザーでは捉えられない超高速現象を観測できます。
例:
- 電子励起の緩和過程
- キャリアダイナミクス
- 分子振動の立ち上がり
- 光化学反応の初期過程
HUMMINGBIRDシリーズは典型値150fsと高い時間応答性を持ち、
超高速分光(pump-probe構造) に理想的な光源となります。
🪽 フェムト秒パルスが分光に最適な理由②
★高ピークパワーで非線形現象を引き起こしやすい
パルス幅が短いほど、同じ平均出力でもピークパワーが大幅に上昇します。
たとえば0.5W出力・150fsパルスなら、ピークパワーは数kW〜数十kWに達します。
これにより、以下の非線形分光が実現可能になります。
- コヒーレントラマン分光(CARS/SRS)
- 二次高調波発生(SHG)
- 和周波発生(SFG)
- 高次高調波・ブロードバンド白色光発生
従来は大型レーザーでしか困難だった技術も、
HUMMINGBIRDのような小型フェムト秒レーザーによりテーブルトップレベルで実現できます。
🪽 フェムト秒レーザーが分光に最適な理由③
★広帯域スペクトルで分子情報を一度に取得できる
フェムト秒パルスはその短さゆえにスペクトル帯域が広いという特徴を持ちます。
(時間幅が短い=周波数幅が広い:フーリエ変換の関係)
これにより、
- 一度の照射で複数の振動モードを励起
- 広帯域ポンプとして超高速分光に利用
- SC(スーパーコンティニューム)生成による広帯域光源化
など、多彩な分光手法に適用できます。
HUMMINGBIRD-1030は中心波長1032nmで安定したスペクトル、
HUMMINGBIRD-515は可視域の広帯域パルスを供給でき、材料・生体・非線形分光で高い柔軟性を提供します。
🪽 HUMMINGBIRDシリーズが分光装置にもたらす革新
従来、フェムト秒分光には大型レーザーが必要で、以下の課題がありました。
- 装置が大型化
- 電源・水冷が必須
- 光路が長くアライメントが難しい
- コストが高い
HUMMINGBIRDシリーズは、この課題を根本から解決します。
◎ 手のひらサイズで高性能
- 70×49×28mm(1030nm)
- 70×58×28mm(515nm)
- <200fsパルス/0.5–1W級出力
◎ USB給電(20V PD)
高電圧電源が不要で、装置内電源との統合が容易。
◎ 完全空冷
チラー不要でメンテナンス性が大幅向上。
◎ OEMに最適化された構造
筐体内蔵・短い光路・振動による光軸ズレ低減。
分光装置を“外付けレーザー前提”から “内蔵型レーザー構造”へ変えるポテンシャルを持つ光源です。
🪽 分光装置メーカーが得られるメリット
- 装置の小型化・軽量化
- 高性能フェムト秒光源を一体化できる
- 外付けレーザー不要=ユーザー操作が簡単
- 高い時間分解能・高非線形応答を実装可能
- 競合他社との差別化が容易
研究用途だけでなく、製品として販売する組み込み型分光装置でも高い価値を提供します。
🪽 まとめ:フェムト秒レーザーは分光の“標準光源”へ
フェムト秒レーザーは、
「高速」「高ピーク」「広帯域」
という特性から、分光・非線形光学・材料科学に最適な光源です。
そしてLaserAtWork社のHUMMINGBIRDシリーズは、
その性能を手のひらサイズの筐体に凝縮した画期的なレーザーとして、
装置メーカーから高く評価されています。
分光装置に適したレーザー光源をお探しの方は、ぜひご相談ください。
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